2030年に向けて空き家が危ないその理由とは

2030年に向けて空き家が危ない
〜2025年問題と相続空き家の急増、そして「負動産」化の現実〜

筆者:株式会社OfficeDz えがおエステート 藤原

日本では現在、空き家の増加が社会的課題として大きな注目を集めています。総務省が発表した最新の住宅・土地統計調査(2023年)では、国内の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高に達しています。すでに約7〜8軒に1軒が空き家という状況ですが、これはまだ序章にすぎません。

この問題をさらに深刻化させる大きな節目が「2025年問題」です。団塊世代(1947〜49年生まれ)が2025年に75歳へ到達し、高齢化や相続が一気に進むことで、全国で「使わない実家・空き家」が急増すると見込まれています。これまで家族が生活していた住宅が、所有者の死亡・入院・施設入所などをきっかけに、一気に市場へ溢れ出す可能性があるためです。


■ 空き家は「量の問題」から「質の選別時代」へ

2025年以降に大きく進行するのは、空き家の「数」そのものよりも、市場での評価格差です。

売れる空き家の条件は、すでに明確に見え始めています。

  • 駅・主要道路へのアクセスが良い
  • 再建築が可能で、道路・インフラ条件が良好
  • 浸水・土砂災害等のリスクが比較的低い
  • 利活用または賃貸に転用しやすい間取り・立地

こうした条件を備えた物件は今後も一定の需要が見込まれます。しかし、そうでない物件は比較対象が急増することで、 「売れにくい」→「値が付かない」→「維持費だけが続く」 という流れに陥るリスクが高くなります。

そして、その先にあるのが、近年よく取り上げられる「負動産」という概念です。資産どころか、 税金・管理費用がかかり続ける“負担となる不動産”を意味します。


■ 2030年以降、「3軒に1軒が空き家」という未来予測が現実味を帯びる

多くの専門調査や民間シンクタンクの予測では、このまま対策が進まなければ、 2030年以降には“空き家率30%前後”、つまり「3軒に1軒が空き家」 という状況もあり得るとされています。

これはあくまでも将来の予測であり確定数字ではありませんが、空き家増加の方向性と社会構造上の背景を踏まえれば、決して楽観視できない未来です。

また、空き家の問題は「所有者だけの問題」ではありません。防災・治安・地価下落・地域イメージ低下など、 地域全体へ影響が及ぶ社会的問題でもあります。


■ 放置はリスク、対策は「早めに・前向きに」

近年は法制度も強化が続いており、管理不足の空き家は固定資産税の住宅用地特例が外れる可能性があります。つまり、これまでのように「とりあえず残しておけば資産になる」時代ではなく、

何もしなければ“損をする時代”

がすでに始まっています。

特に、相続後に兄弟や親族間の意見が割れた場合、売却・解体・活用の意思決定ができず、 10年以上放置 → 老朽化 → 負動産化 という事例は全国で増加しています。


■ 結論:2030年を待たずに、動き出す人が資産を守る

私が不動産の現場に立つ立場として、強くお伝えしたいのは、次の一点です。

「まだ売れるうちに、売るという選択肢を真剣に検討するべき」

不動産の価値は、「物件そのもの以上に、市場環境に左右される」ものです。特に地方エリアでは、 人口減少・買い手減少・競争物件増加という三重苦が想定されます。

使用予定のない不動産、相続予定の実家がある場合は、 「2030年に向けて、出口戦略を立てる最後のチャンス」と捉えていただくのが良いと思います。

判断に迷う場合は、まず次のような選択肢を整理するところから始めてみてください。

  • 売却(実家・空き家を現金化する)
  • 賃貸(賃貸用物件として貸し出す)
  • 解体(更地にして売却・駐車場などで活用)
  • 利活用(セカンドハウス・店舗・事務所などへ用途変更)
  • 相続前対策(生前贈与・遺言・共有解消の検討)
  • 家財整理(残置物を減らし、いつでも売れる状態にしておく)

■ 最後に(筆者より)

空き家問題は、あとで振り返ったときに 「もっと早く動いていれば良かった」 と感じるテーマの代表例です。

私は地域の不動産会社として、空き家・相続・売却で誰一人困らない社会づくりに貢献したいと考えています。

もし相談窓口を迷っておられるなら、ぜひ一度、えがおエステートへお気軽にご相談ください。 きっと選択肢は一つではありません。一緒に最善の方法を考えていきましょう。


■ 参考リンク(参照した主な情報源)

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